「私の人生の余暇」タレント チ・ジニ氏
[東亜日報]
「写真というよりカメラが好きで、ロボットの模型は息子にも触らせません」
《一時間以上も余裕をもって出発したというのに時計の針は約束した午後6時を回ってしまった。登り坂の道を急いで跳ね上がっていった。ようやく茂りはじめたばかりの緑陰が細い小道の両わきを覆うソウル、広津区(クァンジング)広壮洞(クァンジャンドン)ウォーカーヒルホテルの散歩道。俳優チ・ジニ氏は、自身が取った写真を展示している場所で5分遅れた記者を待っていた。「申し訳なありません」という挨拶をすると、すぐ「大丈夫ですよ」という言葉の代わりに、余裕ありげに笑ってみせた。5月の夕方、新緑の下で会い、氏から受けた第一印象は「余裕」と「安らぎ」だった。》
○理由ある「カメラ狂」
今月31日までウォーカーヒルホテルで開かれる春の花祝祭場の一角にはチ氏が撮った写真を展示しているところがある。作品の構図や焦点などが単なる「趣味」の水準ではないようだ。チ氏は演技者になる前、写真スタジオで働いた経歴があるという。
「実際は、『写真』という結果よりはカメラという機械に興味があります。何かを持って遊ぶのが本当に好きですね。」
高等学校時は金属工芸を専攻したという。手で何かを作ることに「面白味」以上の「喜び」を感じたと。
その後、明知実業専門大で編集デザイン(出版媒体の紙面の体裁をデザインすること)を勉強し、デザイン会社で仕事をすることになったが、常に何かが足りないという気がしていたという。
他の「おもしろい」仕事がないかと迷っている時、家族から写真を薦められた。
たまたま連れて行った写真館でチ氏の目が輝いていたことを記憶していからだと。
チ氏は喜んで家族の提案を受け入れた。
広告写真を撮るスタジオに就職した。スタジオアシスタントの仕事は今も昔も薄給だ。
写真仕事を始めた1997年頃の彼の月給は40万ウォン。当時の物価水準を勘案してもかなりのひどさだ。それでも彼は仕事がおもしろくて、苦しいとは思っていなかったという。
「目標ができましたよ。「素敵な写真作家になろう」、 そのためには自分が思いのままに使えるカメラがなければならないでしょ。それで決心しましたよ。最高のカメラとレンズを買いますって。」
直ちに銀行に行き積み立てを始めた。月40万ウォン。貯金をしたら生活費がなかった。
スタジオのすべての夜勤を自ら要望した。
一回の夜勤手当は1万ウォン。
彼が1ヶ月に受けとる夜勤手当は30万ウォン近かった。
食事をおごられて、酒をおごられて飲んで、出退勤は自転車だった。
散髪する時間もお金もなくて、髪も切らなかった。
半年働いたら通貨危機が起こった。
夜勤手当が消えた。しかたなく貯金を月20万ウォンに減らした。
首筋から伸び始めた髪の毛の先端が腰の周りに至るころ500万ウォンが貯まった。
月給40万ウォンのスタジオアシスタントは、初めてのカメラ「キヤノンEOS-1N」をそのようにして手に入れた。デジタルカメラが普及するまではプロの写真家やカメラマンしか触れることのできない最高級モデルだった。
「ところが…、そのカメラで写真家のようにとってみることができなかったです。
購入した直後から演技をすることになりましたよ。」
それでも彼は相変らずカメラが好きだ。さらにいろいろな種類のカメラを持ちたくて収集を始めた。ローライ、ライカ、ポラロイド…。チ氏が持っているカメラは30台をかるく越える。
壊れてしまったものが半分ほどあるが関係ない。ただカメラが好きなだけだから。
○私の趣味は「集めて作って」
他に収集する趣味があるのかという記者の質問にチ氏の目がまた輝く。
「フィギュアは好きですか? 私は本当に好きです。家にはロボットのフィギュアも30個ほど、クラッシックカーの模型も30個ほどあります。今でもずっと集めています。全世界で500個しか生産されなかったような限定版もあります。」
幼い時から「マジンガーZ」と「ロボットテコンV」が大好きだった。派手で威厳があった「ガンダム」のようなロボットはなぜか情が沸かないと。
フィギュアだけは5才になった息子にも簡単には触らせないほど大切にしている。
「飾り棚を作ってそこにずっと展示しておきたいが、うちの子が持って遊びたがりますよ。
初めには「息子がせがんでも絶対渡さない」と思ったが、そうも行かなくて。それで部屋の衣装箪笥中にみな隠しておきました。夜、こっそりと取り出してみて磨いてまた入れておいて。ハハ。」
チ氏は、後で余裕ができれば必ず自分の手でカメラでも何でも作ってみたいと話す。
高校の時から金属工芸とデザインを専攻したおかげで作る才能だけは自他共に認める水準級だと。
カメラにのめり込んでいる頃は、市販のカメラバッグに気に入るものがなくて、革で自作して使ったり、既製品の一部を手直しして自分の趣味に合うように財布や収納スペースを取り付けて使ったりもしたという。
「作るのが好きだと、どう手直しすればいいかも直ぐに思いつきます。そんなふうにアイディアが浮かぶのだから、何か作るのが本当に好きなんだと思います。」

傑作なエピソードがある。
スタジオで仕事をてしていたとき、米国女子プロゴルフ(LPGA)ツアー広報物に入る写真を撮らなければならないことがあった。依頼人はこちこちに立っている芝の上にゴルフボールが置かれられている写真を要求した。良い芝だといわれるものはすべて試してみたがゴルフボールの重さに絶えられる芝がなかった。
そして特命がチ氏に下された。
「市場でニラをいっぱい買ってきました。先端部分だけ切り取って、ニラの中にようじを一本一本さして、それを板にさしたんです。」
ニラは見事に芝になり、竹ひらのように実直にゴルフボールの重さに耐え抜いた。
○イタリア旅行を契機にワインに注目
最近チ氏に新しい趣味ができた。ワインとイタリア料理だ。
チ氏は、もともと小麦粉料理をそれほど好まなかった。しかし、昨年9月婦人と共に半月イタリア旅行をしてきてからは、考えが完全に変わった。ワインと共に食べるイタリア料理があんなにおいしかったなんてと。
ローマ、フィレンツェ、ミラノなどを回りながら数多くのレストランでワインとともにイタリア料理を味わい、目に映る野原がまるごと全部ブドウの木で覆われる風景に感銘を受けて、氏は韓国に戻った後イタリア ワイン旅行記を出版した。
「イタリア、雲の中の散歩」というタイトルをつけた本で、チ氏は「手頃な値段で大衆的なワインでも、高くて高級なワインでも「私の」舌に触れた時、さらにおいしく、感激するワインを知る喜びを知らせたかった」と伝えた。
テーブルの上に置かれたワイン一杯を吟味するのか、氏の顔にもう一度微笑が漂う。
イ・ウォンジュ記者takeoff@donga.com
http://www.donga.com/fbin/output?n=200905220031
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